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六月の空

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六月の空

時間を見つけて山の畑に行った。今年は獣害を避けてトマトを天蓋の下で育てているので、少なくとも苗木の間は、日照に干上がってしまわないように、水を撒布してやらなければならない。

自然を相手にしていると、たしかに多くのさまざまな人間的な軋轢から解放される気分になる。とくに、気の置けない畑仲間との交流には、本当に解放された社会に生きることを予感させるものがある。

市民社会はいわゆるゲゼルシャフトであって、もちろんゲマインシャフトとは本質的にちがう。だから格差、利益追求、差別、解雇、失業、搾取が常態の社会であって、そこに多くの矛盾が存在し、それがまた社会を動かしてゆく原動力になる。そうして歴史は進行してゆくのだ。

NHKの放送だったと思うが、「グラミン銀行総裁 ムハマド・ユヌス・世界を救うソーシャル・ビジネス」という番組を見た。このバングラデシュの経済学者ユヌス氏は、高利貸しに苦しむ貧者のために、グラミン銀行をつくって無担保長期返済の小口金融ををはじめた。

そして、この事業で多くの人を、とくに女性を貧困や高利貸しから解放した功績で、2006年にノーベル平和賞を受賞している。わが国の自民党のように、消費者金融業者から多額の政治献金を受けて、高金利を永年のあいだ放置し、多くの国民を苦しめてきた政治家たちとは大きな違いである。

GDPでは世界でも指折りの地位を占めると言われる日本でも、拙劣な政治から、国内も少子高齢化が進み、全国の至るところに「限界集落」などが増えている。医療体制も崩壊しつつあり、農耕地は荒れるままに放置され、かっては美しかった里山の光景も失われつつある。

一方で国民も年金制度の崩壊を嘆いて、「お上」に愚痴を言うばかり。しかし、全国に耕作放棄農地の広がりつつある現状にあっても、この危機に肯定的な意義を見つめることができさえすれば、そこに新しい「ふるさと創生運動」の芽生えの可能性を見ることもできるのではないだろうか。
by hosi111 | 2009-06-21 09:56