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一年のささやかな回顧

一年のささやかな回顧


今年2006年も今日でおしまいである。私にとっては平和なうちに静かに過ぎてゆく。私にとって今年はよい一年だっただろうか。悪い一年だったろうか。


もちろん、こうした問いが大した意味を持たないことはわかっている。良いこともあれば悪いこともあるのがこの世だからだ。ただ総体的にみればどうか。


私にとって今年一年の最大の喜びは、やはり七十人訳聖書を手に入れることができたことだろうか。


また、そこで、150年ほど前のイギリスに生き、その生涯に七十人訳聖書を訳したSir Lancelot Charles Lee Brentonという人を知ったことだろうか。同じような趣味、性向の人の存在を歴史の中に知ることのできるのは、一つのささやかではあるが、やはり、喜びであり、また励まされもする。彼を同志の人のように感じる。


今年一年で目立った記憶に残ることと言えばそれぐらいだろうか。あまりにもささやかな出来事であるとしても。その他は、相変わらずの一年だった。この世はこの世で、今日も、そして、おそらく明日もあさっても、私の生まれる前も、私の死後にも同じように、太陽に照らされ続けるこの世に新しいものはない。戦争も殺人も、結婚も誕生も繰り返され、動物と同じ運命が人間にも臨むだけである。
(伝道の書第一章第二章)何も目新しいことはなかった。


ただ、多少は世界と人間と自己についての理解が深まったことだろうか。ブログのようなものができて、以前なら公表も困難な個人的な生活の記録のようなものが、公に日記のように記録してゆくことができる。また他者のそれも読むことができるようになった。ただ、そこに私と同じ凡人の姿を、その多くにも確認するだけであるとしても。


来年も与えられた日々を神の恩恵と感謝して、自分のなすべきことを忠実に実行してゆくしかない。せいぜいできることはそれくらいである。いやそれすらも自分にはきちんとできない。まして、世界のことを憂いたとしてもどうなるものでもない。神の定められたことを私たちが変えることはできない。来年に願うことは、自分のなすべきことをきちんとできるようになることである。それすらできないから。(伝道の書第九章)(ヨブ記第二十三章)


それにしても、先日に聴いたバッハの教会カンタータ第25番では、世界は一つの病院に喩えられていたが、私には、世界が演芸場のように感じられるときもある。そこにはすぐれた多くの喜劇役者がいて、腹の底から大笑いすることも少なくないから。私もその中の下手な役者の一人かもしれない。



わが国では、道々に袖が触れ合っただけでも、それは他生に縁があったからだと言います。今年一年、何か縁あってこのブログですれ違うことになった皆さん。どうか良いお年をお迎えください。


by hosi111 | 2006-12-31 22:51