人気ブログランキング | 話題のタグを見る

個別・特殊・普遍の論理②

概念論の研究

また、ヘーゲルは国家もまた次の三つの推理からなる体系であるとして説明している。国家という概念もまた概念としての三つの契機から、すなわち個別性、特殊性、普遍性からなる。

まず、普遍者としての政府、法律、官僚など、および、個別者としては国家の構成分子である個人、家族。そして、個人の教養や能力などの特殊性に応じて形成される市民社会、の三者である。

国家という有機的な組織の概念が、個人(家族)―→市民社会―→国家へといたる論理的な進展として、また、個別――特殊――普遍の三つの推理からなる論理構造をもったものとして捉えられる。このような論理で国家を把握している点が、ヘーゲルの国家論を他の凡俗の国家学者の国家観と比較しても比類なく卓越したものにしている点であるだろう。要するに、ヘーゲル以外に、国家を生命体として、有機的な組織体として把握する論理を持たないのである。


そして、この三者の間で、それぞれが互いに中間の媒介項となって連結することによって、すなわち、国家――個人――市民社会と、市民社会――国家――個人と論理的には、三つの項からなる推理の三重性によって国家は自己を生産し、この生産によって自己を保存する。このようにして有機的な組織の論理構造を説明しえているところがヘーゲルの弁証法論理の優越している点であると思う。

単なる質と量の数学的な論理や悟性的な形式論理学では、生命の論理は捉えきれないのである。そして、この個別――特殊――普遍の推理とその三重性の論理は弁証法論理の核心として、ヘーゲルの論理学の体系もまた、この推理の三重性によって、それぞれ自己を止揚しながら、絶対的理念に向かって自己を展開してゆくことになる。
by hosi111 | 2007-03-20 01:49 | 概念論