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ヒヨドリバナ

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十月に入る。今日から十月、神無月である。神無月とは日本全国の神社に祭られている神々が、この月に出雲大社に集まるためにいなくなることに由来するそうだ。その真偽はとにかく、そこに古来からの土着的な宗教の起源について何らかの真実が語られていそうで奥ゆかしい。

陽暦ではただの10月で数字の順位が示されるだけで味も素っ気もないけれど、歴史的にはそのほとんどを陰暦の下に暮らしてきた日本人にとっては、当然のことながら、その呼称の裏には人々の季節感や生活感、自然観が籠められている。

陰暦の月呼称と別称
http://www.taka.co.jp/okuru/engi/inreki01.htm

はるか昔、出雲地方から日本全国に散らばった豪族たちが、自分たち氏族の出自と団結を確認するために、年に一度自らの出身地に帰り集結するという、民族の遠くはるかな記憶がそこに刻み残されているのかもしれない。

山畑へ行く。青紫蘇がいよいよ薹がたち実を付けはじめて、もはや柔らかく薫り高い若葉がなくなり始めて残念に思っていたところ、青紫蘇の実がいい佃煮になり鉄分も豊富であることを教えられた。それで、ざるに一杯ほど摘んで帰ることにする。

自宅に戻ってから、その青紫蘇の実を採っていると、指先が濃い茶色に染まるほどだった。それは葉や実に含まれる鉄分によるものかもしれないと思った。そして、教えられたとおりに、油と醤油と酒と味醂で――あいにく切らしていたので黒砂糖を代わりに、佃煮にした。

美味しいご飯に合う。鉄分の不足しがちだといわれる日本の女性におすすめかもしれない。今年の夏、この青紫蘇は冷や奴などにもよい香りを添えてくれた。
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また、それほどたくさん育ったわけでもないけれど、小さな畑の一角から葉生姜を引き抜いて帰った。洗ってそれに八丁みそを付けて食す。ささやかな山の幸であり味わいではある。
はたして、いつの日か本格的に農に打ち込める日は来るのだろうか。それも神様の思し召ししだいか。

何をきっかけに見て知ったのか、アフリカの若い娘から詐欺メールが届いていた。さまざまなところから送られてくるスパムメールに現代人の精神状況の一端が知られる。最近の犯罪も「ネット文明」と決して無関係ではないと思う。それは人間を獣性に駆り立てる。

注文していた『HYMNS ANCIENT & MODERN NEW STANDARD』が届く。

[短歌日誌]①2008/10/01

山合の道を歩いているとき、白い素朴な花に出くわした。一見フジバカマの風情で一瞬歓んだけれど、色が白くて赤みがない。花先が絹綿のようでふっくらとしているからオトコエシのようにも思われない。家に帰ってからネットで調べてみると、どうやらヒヨドリバナと言うらしい。その呼び名は可愛いけれど、花の姿とどうしても結びつかない。ただ、暮れなずむ山野の中で、その野草の花の白さだけが印象に残った。



初秋の人影もなき山野辺に名も知らぬ花の潔く白けし
by hosi111 | 2008-10-01 23:24 | 日記・紀行