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母の記憶

 
来月に入ると母の一周忌を迎える。



母についての印象に残る記憶は必ずしも多いわけではないが、やはり折に触れて思い出されるのは、幼少の時の記憶である。特に、風邪か何かで熱を出して、看病してもらった時のことを思い出す。その頃はまだ母も若かった。



その折は、よくお粥を作ってくれた。芋粥や、ただの梅干粥など、白米のおかゆの白さと芋や梅干のきれいな色彩を、今もそのときの味とともに病み上がりの舌に記憶している。
そして、まだ、ジューサーもミキサーもない時代、りんごを擂ってりんご汁を飲ましてくれた。また、まだ当時それほど出回っていなかったバナナも病気の時には定番だった。玉子酒や葛湯もよく作ってくれた。熱を出すことも多かったので、その時はいつも氷水で冷やしたタオルで額を冷やしてくれた。いたずら坊主で迷惑もかけたと思うけれど兄弟の中でも特に粗末に扱われたということはもちろんない。



いわゆる思春期を過ぎて、母を一人の女性として、その限界にも気づきだしてからは、議論して反抗することも、話すことも少なくなってしまったが、そしてまた、母にとっても決して立派な息子だったとはいえないと思っているが、やはり、よく思い出すのは、病気の時いつも親切に看病してくれたことである。


 


by hosi111 | 2005-10-24 18:17