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toxandoriaさんとの議論

 toxandoriaさんとの議論


toxandoriaさんのブログ(『toxandoria の日記、アートと社会』http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070514)を読んで、それにコメントをお送りしたところ、次のようなコメントを返していただきました。こうした議論に多少の興味を持たれる人もいるかと思い、記事として新しく投稿しました。toxandoriaさんに許可はえていませんがよろしくお願いします。もし不都合のようでしたら消去します。



そら『toxandoriaさん、TBありがとうございました。ドイツ旅行記など楽しく読ませていただきました。もうドイツからは帰られたのでしょうね。


それにしても、あなたの「ドイツ旅行の印象」に掲載された、ドイツの市街地の光景は、わが日本のそれと比較して思い出したとき、(「冬の大原野」http://blog.goo.ne.jp/askys/d/20070120)あまりにも憐れで貧弱で涙が出そうになります。


私自身は海外旅行での経験は実際にないので、それは正確な認識ではないのですが、この予測はたぶん誤ってはいないだろうと思います。民族や人間の「精神」の問題に関心をもつものとして、私には民族精神の現象としての市民生活は引き続き興味あるテーマです。



たとい経済力で世界でGDP第二位とか三位とかいっても(その功績を毛頭否定するつもりはありませんが)、肝心の文化的指標においては、いつ西欧、北欧の豊かな文化環境に果たして追いつき追い抜くことができるのかと思うと、絶望的になります。「幸福度」という絶対的な尺度においては、日本人はいったいどの程度にあるのだろうかと思ったりします。



民主主義の制度と精神についても同じように思います。あなたのブログ記事もいくつか読ませていただいていますが、あなたもそこで日本人の国民としての「カルト的性格」についての懸念を示されているようです。


ただ、それらの指摘について同意できる点も少なくありませんが、また同時に、必ずしもあなたの考えに賛成できない点も少なくないようにも思います。日本の民主主義についてあなたほどには絶望していないし、希望も失っていないということに、その根本的な相違は尽きるでしょうか。


現在の安倍内閣についても、確かに多くの懸念は持ってはいても、それに対する評価についてはあなたほどには辛くはないというのが、私の現在の立ち位置であるように思われます。むしろ、私が現在もっとも深刻に感じている問題は、安倍内閣にではなく、主にテレビ業界をはじめとするマスメディアの退廃と堕落、教育と官僚と大学の無能力です。そうした文化の退廃は全体主義の反動を呼び起こしてもやむを得ないくらいに考えています。その意味で、私はプラトンのような全体主義は必ずしも否定はしていません。


あなたにTBをいただいて、現在の感想を簡単に述べさせていただきました。ただ、これはあなたのブログをまだ表面的に読み込んだだけの意見に過ぎませんが。



       そら(http://blog.goo.ne.jp/askys)』 (2007/05/15 15:04)


 


 toxandoria 『“そら”さま、コメントをいただき、こちらこそありがとうございます。


ご指摘のとおり、必ずしも経済力と幸福度は一致するものではないと思います。さらに、それは必ずしも知的という意味での精神力の問題でもないようです。やはり、“分をわきまえて足るを知る”という人それぞれの煩悩との闘いの問題なのでしょうか?


日本人の「カルト的性格」については、もっと多面的に考察すべきと思っていますが、今のところでは、やはり欧米のような「市民革命のプロセス」の不在ゆえに吹っ切れていない、悪い意味での歴史の残り滓(のような病原体?)が存在するような気がします。つまり、決して絶望している訳ではなくハラハラしながら観察しているといったところです。


恐らく、それは日本人的な良さの面でもあるのでしょうが、その“弱点”(?)を承知の上で狡猾に利用しようとしたり、或いは、そのような日本国民の善良さを逆手に取り、ひたすら上位下達的、権力的に安易に国民を支配しようとするアナクロ感覚の為政者たちは、より厳しく批判されて然るべきだと思います(実は、これらの“人種”に接近遭遇して些か嫌な思いをしたという原体験ゆえかも知れませんが・・・)。


京都芸術大学あたりの自然は出向いたことがあるので承知しておりますが、まだまだ綺麗な自然が残されている方ではなかったでしょうか。いずれにしても、京都市内及び周辺の都市開発のアンバランスな姿が目立つことは確かですね(京都に残る寺社や自然が好きで、時々たずねております)。


記事でも書きましたが、日本の京都のような位置づけ(ドイツ文化を象徴する都市?)であったドレスデンは、連合軍による猛爆撃でことごとく破壊されたにもかかわらず、よくここまで修復し再建できたものだと、実際にこの目で見て驚き、感動しました。


古い都市景観や建造物を大切にし、徹底して修復し、保全するというヨーロッパの価値観と感性の元にあるものは一体何かということが、今ふたたび自分への問いかけとなっています。昨年の夏にブルージュ(ベルギー)でも同じような心理となりました。石の文化やキリスト教の信仰心のためだというだけではなさそうです。そして、最近は古代ローマ文化との接点が気になっています。


メディアの堕落(=商業主義への異常な傾斜)と大学の荒廃についても同感です。特に、大学についてはプラグマティックに一般教養を切り捨てたことが荒廃傾向に輪を掛けたのではないかと思っています。


今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。』 (2007/05/15 17:37)


 



 


by hosi111 | 2007-05-15 18:54