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国家と宗教

宗教は絶対的な真理を自身の内容として持っている。そして、それでもって志操のもっとも高いところは宗教に帰する。宗教はすべてがそれに係わる無制限の根拠と原因である神についての直観であり感情であり、表象的な認識である。(法哲学§270)

ヘーゲルのこのような論述も、宗教を主体的に捉えていない者には、おそらく理解できないだろう。特に、キリスト教とはほとんど無縁の大多数の日本人には馬耳東風に響くだろう。ヘーゲル哲学がその根底に分かちがたくキリスト教と結びついていること、彼の良心論を見ても、彼の哲学がキリスト教への深い帰依の上にたつ高貴な哲学であることが分かる。多くの唯物論やその他の哲学がキリスト教を否定している。しかし、真理は真理である。現代社会はキリスト教とかかわりを持とうとしない。その教えが、多くの場合、人間の自然的な欲望に敵対するからである。

ヘーゲルが言うように、この世の一切は宗教に根拠を持つ。宗教の承認を得て初めて、その事物の価値が位置づけられる。
by hosi111 | 2006-01-24 23:53 | 哲学一般